中級

Superpowers 実践ガイド

Superpowers(v6.2.0)のスキルを活用した標準開発パイプライン。ブレスト、計画、実装、レビューの全フローを解説。

読了目安
約40分
演習込み到達目安
2〜3時間
superpowersskillsworkflowbrainstormingtdd

Superpowers とは

Superpowers は obra が開発した Claude Code 向けのスキルプラグインだ。Claude Code 本体の機能を変えるのではなく、その上に構造化されたワークフローを追加する。

項目内容
確認バージョンv6.2.0
ライセンスMIT
リポジトリobra/superpowers
利用単位Claude Code のネイティブスキル
レガシーコマンドv5.1.0 で削除済み。自然な発話またはスキル名で直接利用

Superpowers の中心思想は「ブレインストーミング → Git Worktree 準備 → 計画策定 → 実装 → TDD → コードレビュー → ブランチ完了」という7ステップのパイプラインだ。各ステップに専用スキルが対応しており、場当たり的な実装を防いで再現性の高い開発フローを実現する。

v6 系の互換メモ: worktree はプロジェクト内の .worktrees/ または worktrees/ に作成される。v6.2.0 の SDD 作業記録は .superpowers/sdd/<plan-basename>/ に分離され、最終レビュー完了後に削除される。v5 系のグローバル worktree パスや削除済みコマンドを前提にしないこと。


中核思想: using-superpowers の1%ルール

Superpowers の規律強制の源泉は using-superpowers スキルにある。このスキルはすべての会話の冒頭で読み込まれ、各スキルの description には MUST use、before any、always などの命令形トリガーが埋め込まれている。

Claude はこの仕組みにより「1%でも適用可能性があればスキルを呼ぶ」よう指示される。ユーザーが明示的にスキル名を言わなくても、文脈から適切なスキルが自動発火する設計だ。言い換えると、スキルは「ツール」ではなく「強制されるワークフロー規律」として機能する。


始め方

インストール

Claude Code(公式マーケットプレース)

/plugin install superpowers@claude-plugins-official

Claude Code(obra マーケットプレース経由)

/plugin marketplace add obra/superpowers-marketplace
/plugin install superpowers@superpowers-marketplace

Cursor / Codex / Gemini CLI / GitHub Copilot CLI など他のプラットフォームではそれぞれ別の手順が必要です。詳細は obra/superpowers リポジトリ の README を参照してください。

最初のステップ

インストール直後は using-superpowers スキルから読み始めるとよい。スキルシステム全体の動作原理とスキル一覧が確認できる。

using-superpowers スキルを読んでください

または Skill ツールで明示呼び出し:

superpowers:using-superpowers

標準開発パイプライン(7ステップ)

Superpowers の公式ワークフローは7つのステップで構成される。要件定義からブランチ完了まで一貫したフローで進められる。

Step 1: ブレインストーミング(brainstorming スキル)

実装に入る前に要件、ユーザーの意図、設計上のトレードオフを洗い出す。「何を作るか」が曖昧なまま手を動かすと、後で大幅な手戻りが発生する。このスキルはその手戻りを防ぐ。

起動方法:

「〜を作りたい」「〜をブレストしたい」「〜の設計を検討したい」のような発話で brainstorming スキルが自動発火する。または Skill ツールで明示呼び出し:

superpowers:brainstorming

セッション例:

ユーザー認証フローのリデザインをブレインストーミングしたい

Superpowers はユーザーストーリー、制約、代替案、リスクを体系的に引き出す問いかけを行う。設計ドキュメントを保存して次のステップへ渡す。


Step 2: Git Worktree の準備(using-git-worktrees スキル)

設計承認後、隔離された作業ブランチを新規に作成する。プロジェクトのセットアップを実行し、クリーンなテストベースラインを確認してから実装に入る。

起動方法:

「worktree を作りたい」「隔離ブランチで作業したい」のような発話で自動発火する。または:

superpowers:using-git-worktrees

スキルは作成前に同意を求め、既存の .worktrees/ または worktrees/ を優先する。どちらもなければプロジェクト直下に .worktrees/ を作る。このステップにより、メインブランチを汚さずに実験的な実装が可能になる。


Step 3: 計画策定(writing-plans スキル)

ブレインストーミングで確定した要件をもとに、レビューチェックポイント付きのステップバイステップ実装計画を作成する。計画には全タスク共通の制約、タスク間インターフェース、対象ファイル、検証ステップを記載し、個別にテストとレビューを行える粒度へ分解する。

起動方法:

「計画を作りたい」「実装プランを立てたい」のような発話で自動発火する。または:

superpowers:writing-plans

生成される計画には以下が含まれる:

  • 実装ステップのリスト(依存関係付き)
  • 各ステップの完了基準
  • レビューが必要なポイントの明示

ポイント: 計画はファイルに保存するよう促される。プロジェクト内の任意のディレクトリ(例: plans/)に保存しておくと、後から executing-plans スキルで参照できる。


Step 4: 実装(subagent-driven-development または executing-plans スキル)

保存した計画を読み込み、ステップを順に実行する。この2つのスキルは択一関係にあり、プロジェクトの進行スタイルに応じて使い分ける。

subagent-driven-development(迅速反復向き)

タスクごとに新しいサブエージェントを起動する。各タスクでは1人のレビュアーが仕様準拠とコード品質を別々に判定し、完了後にブランチ全体をレビューする。進捗とレビュー資料はプラン単位の SDD ワークスペースに保存される。

superpowers:subagent-driven-development

executing-plans(慎重進行向き)

タスクをバッチで実行し、各チェックポイントで人間の確認を挟む。変更の影響が大きい場合や、段階的に確認しながら進めたい場合に適している。

superpowers:executing-plans

SDD の進行例:

plans/auth-api.md
  ↓
.superpowers/sdd/auth-api/
  ├─ Task A: 実装 → 仕様準拠・コード品質レビュー
  ├─ Task B: 実装 → 仕様準拠・コード品質レビュー
  └─ 最終ブランチレビュー → ワークスペース削除

互いに状態を共有しない独立タスクを同時に進める場合は、subagent-driven-development ではなく dispatching-parallel-agents を使い、ファイル境界を明示する。


Step 5: TDD(test-driven-development スキル)

実装フェーズ全体を通じて、TDD の規律(RED → GREEN → REFACTOR)を強制する。テストなしで書かれたコードは削除するよう指示される。

起動方法:

「TDD で進めたい」「テストを先に書く」のような発話で自動発火する。または:

superpowers:test-driven-development

サイクル:

  1. 失敗するテストを書く(RED)
  2. テストが失敗することを確認する
  3. 最小限のコードを書いてテストを通す(GREEN)
  4. テストが通ることを確認してコミット
  5. リファクタリング(REFACTOR)

Step 6: コードレビュー(requesting-code-review / receiving-code-review スキル)

タスク間のレビューフェーズ。requesting-code-review スキルがセルフコンテインドなテンプレートとレビュー資料を用意し、汎用サブエージェントへレビューを依頼する。Critical な問題はブロッキング扱いとなり、進行を止めて修正を要求する。フィードバック受け取り側は receiving-code-review スキルで対応優先度を整理する。

レビュー依頼の起動:

「コードレビューをお願いしたい」のような発話で自動発火する。または:

superpowers:requesting-code-review

レビュー担当は以下を評価する:

  • ロジックの正確性
  • エッジケースの処理
  • セキュリティ上の問題
  • パフォーマンスへの影響

Step 7: ブランチ完了(finishing-a-development-branch スキル)

すべてのタスクが完了したら、ブランチのクローズ処理を行う。テストの確認後、マージ、PR 作成、保持から次の操作を選び、worktree のクリーンアップまで一貫して管理する。作業の破棄は通常メニューには出ず、ユーザーが明示的に依頼した場合だけ確認付きで実行される。

起動方法:

「ブランチを完了したい」「finish branch」のような発話で自動発火する。または:

superpowers:finishing-a-development-branch

このガイドで扱う主要スキル

スキル説明起動方法
using-superpowersスキルシステムの基盤、全スキルの索引会話冒頭で自動読み込み
brainstorming要件探索とデザイン検討「ブレストしたい」等の発話で自動発火
writing-plans実装計画の策定「計画を作りたい」等の発話で自動発火
executing-plans計画の実行(慎重進行向き)「計画を実行したい」等の発話で自動発火
subagent-driven-development新規サブエージェントによる計画のタスク別実行とレビュー「サブエージェントで計画を実行したい」等の発話
using-git-worktreesGit worktree による隔離開発「worktree を作りたい」等の発話で自動発火
test-driven-developmentTDD ワークフロー(Red→Green→Refactor)「TDD で進めたい」等の発話で自動発火
systematic-debugging体系的デバッグ(仮説→検証のサイクル)「デバッグしたい」「エラーが出た」等の発話
verification-before-completion完了前の証拠ベース検証「完了」「done」「finished」等の発話で自動発火
requesting-code-reviewレビュー依頼の構造化「コードレビューをお願いしたい」等の発話
receiving-code-reviewレビューフィードバックの対応整理レビュー受領後に自動発火
writing-skillsカスタムスキルの作成「スキルを書きたい」等の発話で自動発火
finishing-a-development-branchブランチ完了処理(PR 作成まで)「ブランチを完了したい」等の発話で自動発火
dispatching-parallel-agents状態を共有しない独立タスクへの並列エージェント発行「独立した調査を並列化したい」等の発話

削除済みレガシーコマンド

Superpowers の旧スラッシュコマンドは v5.1.0 で削除された。v6.2.0 では以下のコマンドを入力せず、対応する自然な発話で自動発火させるか、Claude Code の Skill ツールで superpowers:<skill-name> を明示する。

コマンド対応スキル状態
/brainstormbrainstormingv5.1.0 で削除
/write-planwriting-plansv5.1.0 で削除
/execute-planexecuting-plansv5.1.0 で削除

たとえばブレインストーミングを始める場合は「この機能をブレインストーミングしたい」と伝えるか、superpowers:brainstorming を直接利用する。


他ツールとの連携

Claude Code + Superpowers

Claude Code(CC)単体では実装できるが、フローの構造化は開発者に委ねられている。Superpowers(SP)はその構造を提供する。CCの基本機能(Edit、Bash、Glob など)はそのまま使いながら、ブレスト→計画→実装→検証というフローが自然に機能する。

Claude Code(ツール実行基盤)
    └─ Superpowers(ワークフロー構造を追加)

Superpowers + oh-my-claudecode(OMC)

OMC の自律実行モード(autopilot、ralph)と SP の計画スキルを組み合わせると、長時間の自律開発セッションを構造的に管理できる。

実践的な使い方:

  1. writing-plans スキルで実装計画を生成し、plans/ ディレクトリに保存
  2. autopilot モードで計画ファイルを渡して自律実行
  3. セッション終了前に verification-before-completion が自動検証

Superpowers + ECC(Expert Claude Code)

ECC が提供する言語別・ドメイン別のレビューエージェントと、SP の TDD ワークフローを組み合わせられる。

TDD フロー(SP)
├─ test-driven-development スキル → テスト先行実装
└─ requesting-code-review スキル → ECC のレビューエージェントに依頼
    └─ ECC: TypeScript レビューアー、セキュリティレビューアーなど

よくある使い方のパターン

パターン 1: 新機能の実装(フル7ステップ)

1. 「〜をブレインストーミングしたい」→ brainstorming スキルが自動発火
2. 「worktree を作って」→ using-git-worktrees スキルが自動発火
3. 「実装計画を作って」→ writing-plans スキルが自動発火(plans/feature-x.md に保存)
4. 「サブエージェントで実行して」→ subagent-driven-development スキルが自動発火
5. (TDD は実装中に自動強制)
6. 「コードレビューをお願いしたい」→ requesting-code-review スキルが自動発火
7. 「ブランチを完了したい」→ finishing-a-development-branch スキルが自動発火

パターン 2: バグ修正(デバッグフォーカス)

1. 「このエラーをデバッグしたい」→ systematic-debugging スキルが自動発火
2. 仮説の列挙 → 最小再現ケースの作成 → 検証
3. 「修正が完了しました」→ verification-before-completion が自動発火して回帰確認

パターン 3: 並列実装(大規模 API 実装など)

1. 「実装計画を作って」→ writing-plans スキルでエンドポイントごとのタスクに分解
2. 独立性とファイル境界を確認
3. 「独立タスクを並列化して」→ dispatching-parallel-agents スキル
   → Wave 1: 独立エンドポイントを並列実装
   → Wave 2: 統合テスト

まとめ

Superpowers は「考える前に手を動かす」という開発習慣を「考えてから動く」フローに変えるプラグインだ。各スキルは独立して使えるが、このガイドの7ステップを順番に使うと、設計から検証までの判断を一貫させやすい。

まずは brainstorming スキルから試してみることを勧める(「〜をブレストしたい」と話しかけるだけで自動発火する)。実装前に要件を整理する習慣がつくだけで、手戻りの量が大幅に減る。

次に読むべきガイド: 上級者向け学習パス で、Superpowers の規律をハーネス監査、プラグイン開発、組織展開へ広げる。

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